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2018/2/24 門 [読む]


門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/11/29
  • メディア: 文庫


「それから」の続編ととらえられている。
登場人物や背景は異なり、小説としては独立している。
前半では、仲の良い夫婦、宗助と御米の生活が描かれる。
夫婦には子がなく、3度も流産、死産していた。
御米が易者にみてもらうと、「人に対して済まない事をした覚えがあるため子供ができない」と言われる。
そこから話は過去に遡る。
京都大学学生時代に同級生の安井が妹だと紹介した女性、その女性が宗助の妻、御米である。
その経緯の描写はないのだが、宗助が御米を安井から奪って、大学もやめて広島へ移ったと読める。
その後、東京へ転居した夫婦は、借家の家主である坂井と親しくなる。
ある日、蒙古にいる坂井の弟が坂井の家に来るので、会ってみてくださいと誘われ、そのとき、いっしょに仕事をしている安井も来ることを告げられる。
思わぬ偶然で安井の名前がでたことに宗助は動揺し、当日は一人で仕事帰りに酒を飲み、坂井への訪問を避け、その後、鎌倉の寺へ出向く。
寺で修業を試みるも成果なく帰宅し、御米にも話すことができず、悶々とする。

「それから」でもそうだったが、現代小説と異なり、いわゆる濡れ場や修羅場の具体的な描写がなく、心理的な描写だけで進んでいくのが夏目漱石の小説である。そこが読者からするとやや物足りない気がしないでもない。
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2018/2/13 門 [読む]





門 (新潮文庫)

門 (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1986/11/29
  • メディア: 文庫


夏目漱石は躁うつ病で、躁状態で書いた代表作が「吾輩は猫である」、うつ状態の代表作は「こころ」。
前回読んだ「坑夫」は、どちらかというと躁状態の作品かなと思います。
この「門」は主人公「宗助」が神経衰弱と告白するくらいなので、うつ状態の作品だと思います。
うつ状態の私にすごく共感できる一節がありました。

この日も宗助はともかくもと思って電車へ乗った 。ところが日曜の好天気にもかかわらず 、平常よりは乗客が少ないので例になく乗心地が好かった 。その上乗客がみんな平和な顔をして 、どれもこれも悠たりと落ちついているように見えた 。宗助は腰を掛けながら 、毎朝例刻に先を争って席を奪い合いながら 、丸の内方面へ向う自分の運命を顧みた 。出勤刻限の電車の道伴ほど殺風景なものはない 。革にぶら下がるにしても 、天鵞絨に腰を掛けるにしても 、人間的な優しい心持の起った試はいまだかつてない 。自分もそれでたくさんだと考えて 、器械か何ぞと膝を突き合せ肩を並べたかのごとくに 、行きたい所まで同席して不意と下りてしまうだけであった 。前の御婆さんが八つぐらいになる孫娘の耳の所へ口を付けて何か云っているのを 、傍に見ていた三十恰好の商家の御神さんらしいのが 、可愛らしがって 、年を聞いたり名を尋ねたりするところを眺めていると 、今更ながら別の世界に来たような心持がした 。

39歳の転職までは、車で通勤していましたが、それ以降は電車で通勤しています。仕事は楽しくても通勤は不快です。明治時代から通勤の不愉快は続いているのかと思うと、驚きです。
小池都知事が通勤の混雑解消を都知事選の公約に挙げていましたが、当選後には何のアクションもありません。輸送力に限界があるのなら、時差出勤やフレックス・タイムをもっとまじめに考えて欲しいです。
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2018/2/12 坑夫 [読む]


坑夫 (新潮文庫)

坑夫 (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2004/09
  • メディア: 文庫


Kindleの無料版。今回は新字体で、ちゃんと読めました。

19歳のいいご家庭のお坊ちゃんが、女性問題のトラブルで家出します。
残念ながら女性問題の詳細は書かれていません。艶子さんと澄江さんとの三角関係のようですが。
本人は死ぬ気で当てもなく松原を歩き続けて、お茶屋さんでポン引きに出会って、儲かる仕事があるから着いてこいといわれ、鉱山に入る。
そこで、堕落を実感する。
食事は壁土のような南京米。布団に入れば南京虫に刺されまくって寝られない。
翌日、炭鉱の中を案内されると生きた心地がしないが、逆にここで犬死するくらいなら、華厳の爆に身を投げた方が良いと思う。
案内人が先に行ってしまい、出口までの道がわからなくなった時、安さんというまともな坑夫と出会い、その偶然の出会いに感動する。
坑夫になると決心するが、健康診断で気管支炎と診断され、飯場の帳附として5カ月働いで、東京へ帰る。
そこで終わり。小説の形にはなっていない(と書いてある)。

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2018/1/28 それから [読む]

それから.png
代助は仕事を持たず、父からの経済的援助によって生活する青年である。
学生時代の親友の妹、三千代と惹かれあっていた。
別の友人の平岡から、三千代と結婚したいと告白され、ふたりの結婚を仲介する。
3年後、代助は平岡夫婦と再会する。
代助は三千代への想いを持ち続けていた。
三千代に気持ちを打ち明けると、三千代も代助に好意を持っていることを打ち明ける。
ただ、三千代としては、どうして今更なのか、平岡と結婚する前になぜ、自分をもらってくれなかったのかと泣きながら訴える。
代助は、この愛を自然の流れとして、社会的な問題を無視して突き進もうと決心する。
父から持ち掛けられた縁談は断り、怒った父は経済的援助を遮断する。
平岡と面会し、三千代を愛している、自分にくれと頼む。
平岡は「人の妻を愛する権利が君にあるのか」と迫る。
その会見の後、話はクライマックスへ。
追い詰められた代助はどうするのか。

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2018/1/19 それから [読む]


それから (新潮文庫)

それから (新潮文庫)

  • 作者: 夏目 漱石
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1985/09/15
  • メディア: 文庫


昔買った文庫本は字が小さくて。
無料のKindleで読もうとしたら、旧字体で。
結局、本屋さんで文庫本を購入。
その後、朝日新聞デジタルで昔、新聞に連載された小説が読めることを発見。

その上彼は、現代の日本に特有なる一種の不安に襲われ出した。その不安は人と人との間に信仰がない源因(げんいん)から起る野蛮程度の現象であった。彼はこの心的現象のために甚(はなはだ)しき動揺を感じた。彼は神に信仰を置く事を喜ばぬ人であった。また頭脳の人として、神に信仰を置く事の出来ぬ性質(たち)であった。けれども、相互に信仰を有するものは、神に依頼するの必要がないと信じていた。相互が疑い合うときの苦しみを解脱(げだつ)するために、神は始めて存在の権利を有するものと解釈していた。だから、神のある国では、人が噓(うそ)を吐(つ)くものと極(き)めた。しかし今の日本は、神にも人にも信仰のない国柄(くにがら)であるという事を発見した。そうして、彼はこれを一(いつ)に日本の経済事情に帰着せしめた。

人を信用できない人が神を信仰するという理屈。
人を信用できる人には神は必要ない。
ゆえに、神を信仰する人は人に対して嘘つきである。
しかし、今の日本の経済事情は、神を信仰しない人にとっても、人も信仰できない状況である。

つまり正直に経済活動をすることができないお国の状況であると言いたいのだろう。
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